市街化調整区域での医院開業とは【メリットデメリット】
2021.12.10
医院を開業する際には、「どの地域で開業をするのか」が非常に重要なポイントだといえます。
土地の性質次第によって集患の難易度が変わり、運営方針についても地域性に合わせていかなければならないためです。
そして開業するための土地として選択肢に入れてみたいのが、「市街化調整区域」における開業でしょう。
調整区域にはほかの地域にはない特徴があり、活用次第では医院の経営に有利に働くことも期待できるのです。
そのためこの記事では、市街化調整区域での医院開業についてメリットとデメリットやポイントを解説します。
市街地調整区域とは
市街地調整区域とは、都市計画法に基づいて指定される区域区分のひとつであり、市街化を抑制すべき区域とされています。
市街地調整区域を理解するためには、市街化区域との対比を行うとよいでしょう。
両区域の違い
- ・市街化区域……優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
- ・市街化調整区域……市街化を抑制すべき区域
市街化調整区域では、土地の持ち主であったとしても自由に建物を建てられません。
また、建てられる建築物にも制限があり、クリアしなければならない工程がいくつかあります。
通常は、郊外のエリアが調整区域に指定されることが多いといえるでしょう。
市街化調整区域でクリニックを開業するメリット
ここでは、市街化調整区域で医院開業を進めるメリットについて解説します。
競合が少ない
大きな魅力として挙げられるのが、競合が少ないことです。
調整区域の開発は抑制されているため、人が集まりやすい場所とはいえません。
建物を建てることも制限されており、建てられるとしても条件が課せられてしまいます。
そのため、そこで開業しようとする人は多くなく、あえて開業することで競合を避けることができるのです。
周辺地域に住んでいる患者にとっては利便性が高く、広告費を抑制しつつ集患を安定させることができるでしょう。
競合が少ない分、一度通院した方が別の医院に流れてしまうことも少なく、かかりつけ医にしてくれる方が増えると期待できます。
比較的コストを抑えられる
市街化調整区域に指定されるのは都市部から離れた郊外が多いため、開業にあたってのコストが抑えられます。
都市部と比較すると、郊外の方が当然土地料金は安いためです。
また、市街地調整区域では土地賃料も非常に安く抑えられます。
他人の土地を利用して建物を建てるため、権利関係の整理には気をつけなければなりませんが、コストが抑えられる点は大きなメリットです。
特に開業間もない時期は、資金が心もとないことも多いです。
そのため、初期段階のコストが抑えられる点は開業にとって非常に有利でしょう。
目立ちやすい
郊外に医院を立てるとなれば、周囲にはあまり多くの建物がなく、目立ちやすいといえるでしょう。
大きめの建物を建てられれば、特別なことをしなくてもそれだけで集患効果が期待できます。
また、郊外であるために、斬新でセンスのよいデザインの外観にすることで、さらに住民の目を引くことが期待できます。
上手に利用すれば建物自体が集患を行ってくれるため、大掛かりな広告にコストをかけずとも、経営を安定させられるかもしれません。
車の場合通院しやすい
市街化調整区域の場合は、駐車場を用意しやすいです。
郊外は土地に余裕があるため、充分な広さの駐車スペースを確保しやすいためです。
郊外に住んでいる方は、基本的に車を主な移動手段としていることが多いでしょう。
そのため広い駐車場を持てることは、それだけで集患に好影響を及ぼすのです。
また、医院という特性上、駐車場をゆったりととれることは大きな意味を持ちます。
体調を崩した方は少しの距離でも車移動を望み、車の乗り降りにもスペースの余裕が求められるためです。
上記の理由から、医院の開業にとって市街地調整区域は向いていると考えることもできるでしょう。
市街化調整区域でクリニックを開業するデメリット
これまで調整区域で開業するメリットについて解説しましたが、同時に注意すべき点もあるのが実情です。
そのためここでは、市街化調整区域で医院を開業するデメリットについて解説します。
医院の建設がまず必要
市街化調整区域で医院を開業するには、建物の建設を前提とすべきでしょう。
調整区域に指定される場所は郊外が多く、ビルが少ないと想定されるためです。
医院を構えるために建物の建築から始めれば、初期コストは当然それだけ多くかかってしまいます。
先ほどお話しした通り、建物のデザインからできることは大きなメリットでもあります。
しかし、資金調達がうまくいなかければ、調整区域を選択することは難しいかもしれません。
ただし先ほどお話しした通り、都市部と比較すると建築コストは割安ではあります。
初めから自分の医院を建築するつもりであれば、よい選択肢となるでしょう。
付近に調剤薬局がないこともある
近くに調剤薬局がない可能性も高い点にも、注意しなければなりません。
医院内で処方から調剤までを行えれば問題はありませんが、そうでない場合は大きな問題になる可能性はあるでしょう。
集患に苦労する可能性も
郊外に医院を建てるのであれば、駅から遠いことを覚悟しなくてはなりません。
「最寄り駅からの帰宅時に、偶然クリニックを見かけた」というパターンは、なかなか期待できないでしょう。
場合によってはWeb・紙媒体を問わず、本格的な広告戦略をしていかなければならないかもしれません。
人口が少ない地域では、集患方法についてこだわる必要があるでしょう。
市街化調整区域でクリニックを開業するポイント
ここでは、市街化調整区域で医院開業をする際のポイントを3つ紹介します。
広めの土地を確保する
市街化調整区域での開業を考えるのであれば、広めの土地を確保することが重要でしょう。
先ほど紹介した通り、郊外の場合は基本的には車移動が中心となります。
患者だけでなく、スタッフや院長自身も車で医院に訪れる可能性は高いと考えられます。
そのため駐車場に余裕がなければ、患者の車が入りきらないといった問題が発生するかもしれません。
医院の集患策として駐車場の充実は重要であるため、広めに土地を確保できるかどうかが大きなポイントとなるでしょう。
開業の計画は余裕を持って
市街化調整区域での開業には、開発許可申請といったさまざまな手続きが必要になります。
そのため、想定外の事態が起きて手続きが遅れれば、開業日を遅らせる必要も出てきてしまうかもしれません。
医院を構えたらさまざまな固定費がかかるため、開業日が遅れればそれだけ無駄なコストが発生してしまうことになります。
開業初期にはただでさえ無駄が許されないため、スケジュールには余裕を持ちましょう。
専門家に相談する
市街化調整区域での開業には通常よりも専門的な知識が求められるため、専門家との連携がかかせません。
院長の負担を増やすことは得策ではないため、早期から専門家に依頼して無理をしないことが重要でしょう。
開業地選定のやり方とは
市街化調整区域以外で医院開業をしたい方はいらっしゃるのではないでしょうか?
以下の記事では、都心か郊外か、駅前か住宅街か場所ごとのメリットデメリットを詳しくご紹介しています。開業地の選定に悩んでいる方は、こちらの記事をご参照ください。
市街化調整区域での医院開業を検討しましょう
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで市街化調整区域での医院開業についてご理解いただけたと思います。
市街化調整区域での開業にはさまざまな特徴があるため、しっかりとチェックして医院開業をご検討ください。
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