医院・クリニック開業や経営の仕方について
2022.2.1
「医院・クリニックを開業したいけれど、どうすればいいのかわからない」「失敗したらどうしよう」といった悩みや不安はありませんか?
本記事では、医院・クリニックの開業や経営について悩む方のために、経営におけるポイントや失敗しやすいクリニック経営の特徴、医院開業における経営理念や策定方法についてご紹介します。
まずは医院・クリニックの経営におけるポイントについて見ていきましょう。
医院・クリニックの経営におけるポイント
開業医になるための、医院・クリニックの経営におけるポイントをご紹介します。
医院・クリニックの経営の仕方におけるポイントは以下の3つです。
- お金の流れを把握し管理する
- 労務のリスク対策をする
- 自医院の収益の分析
上記の3つのポイントは、経営に最低限必要な知識でもあります。
1つでも欠けると経営破綻に陥り閉業になってしまう可能性があるため、ここでしっかり理解を深めておきましょう。
ポイント①お金の流れを把握し管理する
開業を継続させるには「利益を上げるためのお金の管理」が重要です。
医院・クリニックの経営にかかる費用の例は以下の3つが挙げられます。
- スタッフへの給料
- 医療機器
- テナント料
上記のように、経営にかかる費用には「人に関わる費用」と「ものに関わる費用」の2種類があります。
どれも決して安いものではありませんが、支払わなければ経営を続けることはできません。
そこで重要なのが「利益を上げるためのお金の管理」です。
利益を上げるためには「コスト削減」が必須であり、加えて「どのコストをどのようにして削減させるか」を考えることが非常に重要となってきます。
コスト削減の方法
「人に関わる費用」の削減の方法には下記の3つがあります。
- 1日ごとの収益や1日の患者数に見合った人件費にする
- スタッフの各種手当を見直す
- アウトソーシングをして業務の効率化を図る
そして、「ものに関わる費用」の削減方法には、下記の5つがあります。
- 購入量を減らす
- 診療材料費単価を下げる
- ロスをなくす
- 光熱費を節約する
- アウトソーシングの費用を節約する
上記の「人とものに関わる費用」の両方を見直し、削減することで、収入と支出のバランスを整えられます。
ただただ人件費を削ればいいという問題ではありません。
給料の少なさと労働が見合っていなければ、退職などの問題につながりかねません。
アウトソーシングをすることで、通常行っていた業務の手間が省けるメリットがあります。
その分空いた時間でこれまで委託していたけれど、自分達でできるようになったことがあれば行うようにするという循環も意識しましょう。
ポイント②労務のリスク対策をする
労務のリスクには次のようなものが挙げられます。
- サービス残業
- 管理監督者
- うつ病
- 無断欠勤や早期退職
- 解雇トラブル
- 内部告発
- 偽装請負や不正派遣
- セクハラやパワハラ
これらの労務リスクは、医院やクリニックにとってマイナスでしかなく、最悪の場合、廃業になることもあります。
上記で記したことにならないよう、職員達の手当は大切です。
過度な労働を強いることは職員達との関係を悪化させることになってしまいます。
医院やクリニックの経営は患者さんとの「信頼関係」が重要です。
一度信頼を失うと、長期間にわたって患者数の減少による経営がひっ迫することが考えられます。
そうならないためにも、院内の体制はしっかりと整えるようにしましょう。
ポイント③自医院の収益の分析
医院の経営状態を把握するには「収益の分析」が必須です。
現在、発展していく医院やクリニックと、衰退していく医院やクリニックの格差がこれまで以上に拡大しているほど、医療業界は厳しい環境となっています。
このような厳しいなか自医院の経営状態はどうなのか、そして対策を打つためには、以下の数値をデータ化し、分析する必要があります。
- 月次の試算表
- 総収入
- 診療行為別の収入
- 保険種類別の収入
- 患者数
- 初診・再診患者数
- レセプト1枚あたりの単価
- 1診療あたりの単価
上記のデータを把握すると課題が明確にわかるため、対策を打てるようになります。
続いて、失敗しやすい医院やクリニックの経営の特徴を把握し、そうならないように注意していきましょう。
失敗しやすい医院・クリニック経営の特徴
失敗しやすい医院・クリニックの特徴には、次のようなものが挙げられます。
- 資金の使い方を間違える
- 開業のスケジュールがうまくいかない
- 新規患者さんが来院しない
- 患者さんのリピート率が低迷している
- 評判が低下している
- お金の管理ができていない
- コンサルタントに任せきりで開業
- 院長が業務に追われている
それぞれの特徴がどのように失敗につながるのか、詳しく解説します。
資金の使い方を間違える
開業資金の使い方を間違えると、今後の経営は失敗しやすい状況になります。
例えば、経営資金のために多額の貯金しているため余裕を感じ、経営が軌道に乗る前に蓄えた資金がなくなるといった事例があります。
初期費用を支払ってもお金に余裕があると、「多少お金を使用しても大丈夫」といった心理が働きやすくなり、ついつい使ってしまいたくなるでしょう。
しかし、それで使ってしまうと、軌道に乗るまでの間にかかる支払いや返済ができなくなる可能性があります。
支払いや返済ができなければ、経営難で廃業になる可能性があるため、資金の使い方には注意が必要です。
軌道に乗る時期は確約されているわけではないので、綿密に事業計画書を作成し、それにのっとって行動しましょう。
開業のスケジュールがうまくいかない
開業のスケジュールがうまくいかないと、開業を辞めてしまう可能性があります。
勤務先の診療所や病院を辞めている場合、開業しないことには無収入です。
無収入であることから生活苦を強いられることも少なくありません。
生活費をやりくりするような期間が延長されると心にも余裕がなくなり、結果開業自体を辞めて勤務医に戻る方も実際にいらっしゃいます。
また、経営理念が決まっても、開業するテナントや物件探しが進まない、金融機関が納得する事業計画書の作成に手こずり融資を受けられないとなると開業はできません。
そうならないためにも、開業するためのスケジュールを綿密に計画し、目標を持って進めるようにしましょう。
新規患者さんが来院しない
クリニックを開業してまもない間は新規の患者さんの来院がなく、赤字になることも少なくありません。
新規患者さんが来院しない原因として考えられるのは以下の3つです。
- コンセプトが患者さんのニーズがズレている
- 宣伝が弱い
- 近くに同じ科の医院・クリニックが多数ある
「交通の利便性を図り駅から近い場所に開業したものの、車の需要が高かった」などのニーズのズレは、患者さんにとって不便に感じたり、必要性を感じたりしないため、集患は難しくなる傾向にあります。
また、宣伝が弱いと医院・クリニックを知ってもらえません。
ホームページの作成に加え、インスタグラムやTwitterなどのSNSを使用してみると、より宣伝効果が高まります。
加えて近くに同じ科の医院・クリニックがあると流れてしまうため、集患は難しくなります。
患者さんのリピート率が低迷している
患者さんのリピート率低迷は、経営が失敗する可能性があります。
集患力があったとしても、いつまでも継続されるかどうかはわかりません。
万が一、集患が難しくなったときは収入が激減する可能性が高くなり、経営難に陥ることも考えられます。
経営難を防ぎ、長く経営を続かせるためにも、集患力に加えてリピートされる医院・クリニックを目指さなければなりません。
そのために、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、地元から支持されるように工夫しましょう。
評判が低下している
評判が低下している状況は、今後失敗につながり廃業になる可能性があります。
医院・クリニックだけに限らず、信頼関係が成り立ってなければ商いはできないからです。
評判が低下する原因として主に挙げられるのは以下3つです。
- スタッフがよく変わる
- スタッフや院長の態度が悪い
- 医療ミスや判断ミスが多い
- 院内が清潔でない
スタッフがよく変わる状況を目にすると、患者さんは人間関係が悪いと感じ、あまりいい気分にはなりません。
スタッフや院長の態度が悪いことも同様、患者さんはいい気分になりません。
また、医療ミスや判断ミスは、患者さんからの信頼を失い、経営的にも致命的になりやすいです。
加えて、病院内は清潔であることが一般的です。
逆に少しでも汚い場合は悪い印象を持たれてしまいます。
こまめに掃除するようにしましょう。
お金の管理ができていない
発生する支払いやお金の管理ができていないと、黒字倒産する可能性があります。
医院・クリニックを経営していると、売掛金・買掛金などのすぐに現金処理ができないものがあったり、支払い日がバラバラであったりと複雑なお金の問題がでてきます。
資金繰り表を作成せず入金や支払いなどが把握できていない場合、支払当日に現金不足で支払えないといった状況になりかねません。
一回ではならないかもしれませんが、何度も繰り返すと黒字倒産する可能性があるため、注意しましょう。
コンサルタントに任せきりで開業
開業時、専門のコンサルタントに任せっきりにすると失敗する可能性があります。
コンサルタントに依頼したいわかりにくいこともあるかと思いますが、すべて任せると開業費用が高額になるケースも少なくありません。
例えば、本来であれば必要がない医療機器を勧められることがあったり、高額な商品を勧められたりすることがあります。
実際に必要がない医療機器でしたが、購入を勧められ購入したところ、一回も使用していないといった事例もあります。
自医院には何が必要で不要なのか、紹介された商品の相場や提案された内容の予算は妥当なのかなど、自身も知識をある程度つけて開業準備に臨みましょう。
院長が業務に追われている
院長が医療行為以外の業務に追われていると心に余裕がなくなりやすいため、トラブルにつながる可能性があります。
事務仕事に追われて心に余裕がなくなると、患者の対応がおろそかになったり、判断ミスをしたりする可能性があります。
また、スタッフの育成に手がつけられず、業務に支障がでることも考えられるでしょう。
信頼関係が崩れて集患力が弱くなると、収益も下がり経営失敗につながります。
医院・クリニックの開業における経営理念とは
医院・クリニックの開業における経営理念は、以下の3つのことを表しています。
- 使命や目的
- 方向性
- 開業に至った動機
例えば、「島育ちで病院がほとんどなく、島の方が安心できるように診療所を経営したい」も、経営理念です。
開業をしてどのようにしたいかコンセプトを定めることで、患者さんの安心や信頼につながります。
また、スタッフと共有することで、目指したい方向性や目標を揃えられます。
経営理念や診療方針が定まらないと、目指すべき方向性を見失ったり、患者のニーズに寄り添うことが難しくなったりするため、最初に決めておきましょう。
経営理念や診療方針の策定方法
経営理念や診療方針の策定方法で重要なのは、「開業する理由を考えること」です。
なぜ勤務医ではなく開業医としてやっていきたいのか、どのような医師になりたいのかを考えることで、経営理念や診療方針は見えてくるはずです。
例えば、地元の患者さんを支えていきたいと思ったなどの理由です。
勤務医のときに、遠くからきていただいていた患者さんがいて、もっと寄り添ったコミュニケーションや診療ができれば早期解決につながったという経験などはないでしょうか?
一人で抱えこまずに相談することも重要
医院・クリニックの開業の準備や経営の仕方など、わからないことがあれば一人で抱えこまず、相談するのも重要です。
周りの知識がある方や経験者に頼ることで、経営成功のヒントを貰えるかもしれません。
開業医は経営者ですが、それ以前に一人の医師です。医療の提供に集中できるようにするためにも、頼れるところは頼りましょう。
医院・クリニックの経営は開業前の準備や知識が必要
いかがだったでしょうか。
医院・クリニックを経営するには、開業前の準備や経営における知識がなければ成り立ちません。
とくに、経営理念は非常に重要で、経営理念が決まらないことには開業はできません。
お金の管理や患者に寄り添える医院・クリニックを目指すためにも、経営コンサルティングはプロに任せることが重要です。
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