医療モールの開業場所の選び方と失敗しないコツ

医療モールとは、さまざまな診療科が1つの場所で集患する医療施設の形態です。
国の政策として、診療所が地域医療において担う役割が広がっていることもあり、近年開業が増加しています。
患者さん側にも重要がある医療モールですが、開業すれば必ず集患できるというわけではありません。成功のためには開業場所の選び方が非常に重要です。医療モールの開発には多額の投資が必要ですから、慎重に進める必要があるでしょう。
今回の記事では、医療モールの開業場所の選び方と、成功事例と失敗事例からみた失敗しないコツをご紹介します。
医療モールの立地選びで重視すべき7つの要素
医療モールの立地選びで重視すべき7つの要素について解説します。
①生活動線上に位置しているか
地域住民がいかに便利に通うことができるかという点は非常に重要です。生活動線上から外れてしまうと、存在を知ってもらうことが難しくなりますし、存在は知っていても通うのは面倒なので集患にはなかなか結びつきません。
ターゲットなる患者さんの生活動線を十分に調査しましょう。
②視認性が確保できるか
医療施設としての視認性が確保できるかという点です。生活動線上にあることとも関連しますが、医療施設があるということが外部から確認しやすい立地であることが大切です。通行人流や交通量が多い場所が適しているといえます。
看板を設置することも念頭において考える必要があります。
③診療圏の人口は十分か
そもそも診療圏に人がいなければ、いくら努力をしても集患することはできません。診療圏内に十分な人口がいる立地を選びましょう。
人口だけではなく、年齢や属性などの傾向も把握しておく方が良いです。高齢者の患者がメイン、子供の患者がメインといったように患者の属性に偏りがある診療科を誘致する予定なのであれば、その属性の人口についても調査しておく必要があります。
④競合が多すぎないか
医療施設にとって良い立地条件であれば、当然他の医療施設も注目しています。すでに地域の方のかかりつけ医となっているような診療所が多数存在していれば、そこから患者に移動してもらうことは難しくなるでしょう。医療ニーズと医療施設のバランスを確認する必要があります。
⑤住民の認知を促進できるポイントがあるか
認知が高められる立地は、人や車の通りが多い道沿いだけではありません。なんらかの認知を高められるポイントがあれば、集患を期待できます。
ショッピングモール併設やオフィスビル併設の医療モールであれば、ショッピングモールの認知度がそのまま医療モールの認知度にもつながりますし、オフィスビルで働く人からの認知度を容易に高めることができます。ショッピングモールとまではいかなくても、近くに大きなスーパーマーケットやドラッグストアがある場合にも認知の促進につながるでしょう。
⑥交通の利便性は十分か
医療機関に通院するにあたり、交通の利便性は非常に重要です。生活動線上にあることで集患は期待できますが、その上で駅に近いのであればそれに越したことはありません。駅前や駅直結のビル内などは非常に有利な立地です。
車社会のエリアであれば、広く使いやすい駐車場を用意できる立地であるか、道路から侵入しやすいかといった点も重要です。
⑦賃料相場が妥当か
医療モールは立地を重視する必要がありますので、土地代や賃料は高くなることが多いです。しかし、あまりに賃料が高くなってしまうと診療所の誘致が難しくなってしまいます。立地を考えた時に、賃料相場が妥当なものとなるか確認しておく必要があります。
医療モール開業の成功事例と失敗例から学ぶ失敗しないコツ
医療モール開業における成功事例と失敗事例を知ることで、より良い立地を検討するための参考にしましょう。
成功事例
*大通り沿いの立地
駅から5分以上離れた立地であっても多くの人が行き交う大通り沿いの立地であれば、生活動線上にあるため認知されやすく利便性も高いといえます。車社会なのであれば、より一層利用者が多い道路沿いであることが重要です。
駅から近いことは立地として非常に有利ではありますが、それ以上に多くの人の目にとまり認知度を高めやすく、駅から家までの間に通いやすい立地であることが成功の秘訣といえます。
*バスの停留所に近い立地(バス道沿い)
バスの停留所が近い場合、バスを利用して通いやすいというのはもちろんのこと、バスを利用する人の目にとまりやすいという効果も期待できます。
住宅街の中であってもバス道沿いの立地であれば、認知度が高まりやすく、集患しやすいと考えられます。
*生活に直結した施設との併設
商業施設併設型の医療モールの中でも、生活に直結していて日々利用することになるスーパーマーケットやドラッグストアが併設されていると集患につながりやすいです。住民の利用頻度が高い施設は認知度が高まりやすく、ついで受診にもつながります。
*競合の少ないエリアへの開業
医療ニーズが高いエリアにはある程度の数の診療所がすでに開業しているケースがほとんどです。しかしオフィス街や住宅街に点在する診療所はあっても、医療モールが存在していない場合には患者が利便性に満足できていないことも多いので成功しやすいといえます。
失敗事例
*駅近の大通りから一本路地を入った立地
駅から2分の立地であっても大通りから一本路地に入ってしまうと一部の人の目にしかとまらないため、認知度が上がりにくいです。事前調査で医療ニーズが高いエリアであることがわかっていたとしても、生活動線上から外れると認知がされにくくなってしまうため集患が難しくなる可能性があるのです。
*駐車場の広さを十分にとれない
車社会で医療モールを開業する時には、十分な広さの駐車場を確保できるかどうかが重要です。医療モール単体の時よりも判断が難しいのが、商業施設併設型のケースです。商業施設の利用者と医療モールの利用者の数を読み違え、いつも満車状態になってしまうと、いくら周辺に医療ニーズがあったとしても患者を受け入れることができなくなってしまいます。車での来院を前提とした立地の場合は、駐車場の確保が非常に重要です。
*ターゲットの異なる商業施設との併設
商業施設に併設されることで認知度は高まります。しかし、商業施設のターゲットと医療モールのターゲットにズレがあれば、周辺に人が集まっても集患にはつながりません。若者向けのアミューズメント施設やファッション関連店舗が充実しているような商業施設の場合、医療モールの利用者は限定的になってしまいます。
ターゲットに対しての認知度が上がるのかどうかをよく検討する必要があります。
*高すぎる賃料
どんなに便利な立地で一定の集患が見込まれたとしても、賃料が高すぎると収支のバランスが取れなくなるため開業してくれる診療所を集めることに苦戦する可能性が高まります。
立地だけではなく賃料とのバランスを考えなければ失敗するケースがあるのです。
*競合が多い
周辺にすでに医療施設が過剰にある場合は開業後の競争が激しくなり、集患が難しくなるケースがあります。医療モールの中でも、特殊な診療科を擁しているような場合は集患できる可能性はありますが、一般的な診療科であれば十分な集患ができないリスクがあるでしょう。
立地調査チェックリスト
立地調査のチェックリストをみながら、漏れなく検討をして、医療モールの開業を成功させてください。
⬜︎診療圏内人口
・ターゲットの人口は?
⬜︎生活動線の確認
・住宅街までの道のりは? ・人気の商業施設までの道のりは?
⬜︎医療施設としての視認性
・大通りから見えるか?
・看板などの設置はしやすいか?
⬜︎交通の利便性
・駅から徒歩圏内か?
・近くにバス停はあるか?
・駐車場スペースは十分にとれそうか? ・道路から駐車場へはスムーズに入れそうか?
⬜︎競合数 ・医療モールはあるか?
・診療所はどれくらいあるか?
・どの診療科がどれくらいあるか?
⬜︎適正な土地価格
・適正な賃料を設定できそうか?
まとめ
医療モールの開業において、立地条件は最も重要な条件であるといえるでしょう。
立地が悪ければ、そもそも開業する診療所が集まらないかもしれませんし、集まったとしても集患がうまくいかずに経営難に陥ってしまうかもしれません。医療モールは規模も大きいので、失敗したときの損失は非常に大きいです。
医療モールの開業をする際には、「生活動線」「視認性」「医療ニーズ」「競合数」「認知促進ポイント」「交通利便性」「賃料の妥当性」7つの視点を持って十分な調査と検討をするようにしてください。