医院開業の手順【届け出や申請】
2021.12.10
ご自身のクリニックを持つことを目指しているという医師は多いでしょう。
しかし実際に医院を開業しようとしても、どんな準備や届け出をすればよいのかピンとこない方は少なくないのではないでしょうか。
特に医療行為を行う場所である医院においては、通常の事業よりも行うべき届け出が多いです。
そうした申請・届け出を抜かりなく行うためには、事前の理解や準備が重要でしょう。
そのためこの記事では、医院開業に伴って求められる届け出や、開業前に行っておくべきことについて解説します。
保健所・消防署への事前相談
まず、設計事務所やコンサルタントが図面を消防署や保健所へ持って行き、その通り進めて問題がないのかといった事前相談を行います。
事前相談を行うと高い確率で内装に関する指導が入るため、工事を進める前に必ず行っておかなくてはなりません。
開業前に行う保健所の立ち入りにて修正工事を求められてしまう事例もあります。
この場合、たとえ工事が完了していても、改めて費用を負担して修正工事を行わなければなりません。
事前相談は、徹底するように心がけましょう。
また、内装やレイアウトだけでなくクリニックの名称についても、既に同様のものが存在する場合には変更依頼を受ける可能性があります。
チラシの配布といった宣伝を行ってしまったあとに、名称変更を余儀なくされると大変なため、事前相談しておくべきでしょう。
事前相談では、開設届の書き方や必要書類に関する説明なども受けることができます。
何度も相談に行ってさまざまなポイントに対して事前に了解を受けておけば、スムーズに申請を受理してもらうことにつながるでしょう。
医師会へのご挨拶
医師会への挨拶も、基本的には行うことが大切です。
特に医師会へ加入する場合は、必ず実施するようにしましょう。
入会の手続き自体は、医院の開設後に行います。
しかし、事前に書類を貰っておくためにも、医師会の事務局へ挨拶に行くようにしましょう。
医師会に加入している医師に話を聞くことで、紹介してもらうことが期待できます。
クリニックの工事に着工するくらいのタイミングで忘れずに実施してください。
また、土地選びの段階から挨拶に行くと、開業場所についてのアドバイスや加入条件・入会金に関する説明を受けることも期待できます。
そうした意味では、加入するか否かに関わらず、早期に挨拶に行っておくこともおすすめでしょう。
医師会そのものへの加入は、義務ではありません。
健診を行うつもりがなく、医師会に入らないという選択をする先生も都心部を中心にいます。
しかし、加入することで医師同士のつながりができたり、医師賠償責任保険を利用できたりといったメリットもあるため、事前に検討しておきましょう。
さらに、医院を開業する予定地の周辺にあるクリニックには、工事着工前の段階で挨拶をしておくことが大切です。
保健所への届け出
保健所へは、個人の場合「診療所開設届」を、法人の場合は「診療所開設許可申請書」を提出します。
ここでは、個人の場合を例にとって紹介しましょう。
医院開業予定地の管轄保健所に対して、診療所開設届を提出します。
開設届と一緒に提出すべき書類は、以下の通り多数あります。
開設届と共に提出すべき書類の例
- ・開設管理者の医師免許証の写し
- ・開設管理者の履歴書
- ・従事医師や看護師などの免許証
- ・従事医師や看護師などの履歴書
- ・医院周辺の案内図
- ・医院の敷地平面図
- ・建物の構造概要図
- ・建物の平面図
- ・賃貸契約書(借りている場合)
保健所に届け出を受理してもらえなければ、社会保険医療機関としての指定を受けることができません。
そのため、計画通りに進めることが非常に大切な項目だといえるでしょう。
社会保険医療機関としての指定を受ける
医院として活動していくにあたって非常に大切なことが、保険医療機関としての指定を受けることです。
指定を受けることで初めて、その医院での診療や治療行為に対して健康保険を使用できるようになります。
申請は、開業した医院が所在する地域を管轄する厚生局に行います。
保険医療機関の指定開始日は地域により異なるため、厚生局に事前確認しておくようにしましょう。
タイミングを誤ると、開業日に保険診療をすることができなくなってしまいます。
保険診療ができなければ全てが自由診療扱いとなってしまい、患者に大きな負担を強いることになってしまうのです。
また、指定を受けるまでは保険診療分を請求できないため、キャッシュフローが悪化して。いきなり経営危機に陥る可能性もあります。
申請に当たり提出すべき書類は、以下の通りです。
保険医療機関指定申請に必要となる主な書類
- ・開設届
- ・履歴書
- ・医師免許証の写し
- ・案内図
- ・平面図
申請締め切りの日付チェックを忘れずに!
各種申請においては、締め切り日付のチェックが非常に大切です。
まず、保健所への申請が通らなければ、保険医療機関に指定してもらえることができません。
そして保険医療機関に指定されなければ保険診療ができず、実質的に開業は困難になるでしょう。
もし締め切り日を勘違いして遅れてしまえば、開業自体も予定より遅れてしまいます。
開業できなくても家賃やローンなどの支払いは続けていかなくてはならず、資金繰りがショートしてしまえば、経営自体が成り立ちません。
特に開業したばかりの頃は資金に余裕がないことも多く、申請の遅れが致命的なダメージになってしまうことも考えられるでしょう。
こうした事態を避けてスムーズに開業まで進めるために、書類のチェックはもちろん、締め切り日の確認も抜かりなく行ってください。
事業を行っていくうえでは、ちょっとした失敗や見落としが大惨事につながる可能性があります。
開業をするのであればそのことを肝に銘じ、取り組んでいきましょう。
知っておきたい助成金について
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助成金を賢く活用して運転資金に少しでも余裕を作りましょう。さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
医院開業の届け出は抜かりなく!
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、医院開設時の届け出についてご理解いただけたと思います。
各種届け出はタイムリーに行っていくことが大切ですので、計画的に実施しましょう。
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