医院開業に必要な広さ【専科別】
2021.12.10
医院を開業するにあたっては、通常の業態以上にさまざまなポイントへ気を遣わなくてはなりません。
そしてそのなかでも幅広いケースを想定してこだわっておきたいのが、医院を作る物件の広さについてでしょう。
通常のサービス業とは違い、医院を運営するのであれば広さについて慎重に確認をしつつ物件を選ぶ必要があるのです。
集患性を高めるためにも快適な空間を作り上げるためにも、広さについて一定の理解を持ったうえで物件選びに臨みましょう。
そのためこの記事では、医院開業において考えたい物件の広さを、スペースごとに解説します。
医院開業時に考慮に入れるべき土地の広さ
医院開業時には一定以上の広さの土地を見つける必要があります。
医院を作るためには、基本的に以下の2つの要素が必要だと考えておきましょう。
医院に必要な2つの要素
- ・建物
- ・駐車場
上記の2つは他の業態でも基本的に必要となるものです。
レストランや美容院などを開設する際にも、やはり建物と駐車場が土地の構成要素としては中心になるでしょう。
ただし、医療機関を開設するためには、他のサービス業よりも広さの確保が重要視されます。
ただ建物と駐車場が用意できる土地を見つければ、医院を開業できるわけではありません。
そのため以下では、それぞれにおいて一定の広さを確保することが重要な理由について確認していきましょう。
建物
医院の建物には以下のように沢山のスペースを設置する必要があります。
医院の建物に設置すべき主なスペース
- ・診察室
- ・待合室
- ・処置室
- ・検査室
上記は基本的に最低限のスペースであり、診療科目次第ではさらにさまざまなスペースが必要になります。
各部屋内に設置すべき医療機器もさまざまであり、なかには非常に大きなものもあります。
また、室内における患者や医師を含むスタッフの動線も、確保しなくてはなりません。
特に病気や怪我で困っている患者は動くこと自体が大変であり、不必要な距離を歩かせるわけにはいけません。
受付から診察、会計までの無理や無駄がないようにレイアウトを考える必要があるでしょう。
上記のような条件を満たすためには、建物の面積は一定以上を確保しなくてはならないのです。
駐車場
医院の開業においては、駐車場の確保も非常に大切な要素だといえます。
通常の業態と医院とでは、駐車場の持つ意味合いが大きく異なるためです。
まず、怪我や病気で体調を悪くしている患者ならば、たとえ自宅から徒歩圏内にある診療所へも自動車で来院したいと考えるでしょう。
そのため、自動車の駐車可能台数は通常よりも多く確保したいところです。
また、駐車可能台数だけでなく1台1台の駐車スペースについても、ある程度の広さが求められます。
体調の悪い家族や体が不自由な家族を車から降ろすためには、通常よりも隣の車両に気を遣う必要があります。
隣の車両との距離があまり確保できなければ、ドア開閉による事故につながってしまう可能性もあるでしょう。
そうした可能性がある、つまり駐車スペースに余裕がない医院には、あまり通いたくないと考えられてしまうでしょう。
上記の理由から、駐車可能台数を確保するために1台あたりのスペースを狭くすることはできません。
そしてその結果として、医院の駐車場はある程度の広さが求められてしまうのです。
どの専科でも必要なスペース
医院といっても、診療科目によって必要となるスペースに違いが出るものです。
しかし一般的には、以下のスペースはどの医院にも必要となると考えられるでしょう。
どの医院でも基本的に求められるスペース
- ・待合室
- ・受付
- ・診察室
- ・処置室
そのため上記4つについては、どんなクリニックを開くにしてもまず考えることが求められます。
待合室
待合室は、その医院のイメージを決める大きな要素です。
医院のスタッフや患者が行きかうため、ある程度ゆったりとしたスペースが求められるでしょう。
近年では自動支払機や再来受付機などの導入によって、待合室をコンパクトにする医療機関が増加してきました。
しかし、高齢化が進展している現在では、来院患者も高齢者である可能性が高く、余裕を持った移動が求められることもあるでしょう。
また、新型コロナウイルスや地震をはじめとする災害などによって多くの患者が来院する際には、やはり広い面積が求められます。
感染症の流行時には、患者と患者との距離をなるべくとって、感染リスクを減らすことも重要です。
上記のような事情を踏まえると、可能な限りゆったりとしたスペースを確保することが大切です。
受付
待合室とつながっていることが多い受付においても、一定のスペースがある方が望ましいといえます。
受付では書類への記入や保険証の確認、会計など、患者と事務・医療スタッフがやり取りをする場所であるためです。
またカウンターでは大切な保険証をやり取りしたりお金を扱ったりすることも多く、一定の奥行きがあった方が便利でしょう。
さらに、病気や怪我の内容によっては、他の患者からのプライバシーの確保を求める方もいます。
そのため、待合スペースとの距離は一定以上保てる状態が理想的ではあるでしょう。
診察室
診察室は、医療行為を行う医院の中心的な場所だといっても過言ではありません。
診察室には、主に以下のような設備をそろえる必要があります。
診察室に必要な最低限の設備
- ・医師用の机と椅子
- ・患者用の椅子
- ・ベッド
そして医師と患者、看護師が入ってある程度余裕がある状態にすることが求められるでしょう。
ここまでの内容を確認すると、診察室は比較的シンプルなため面積を削りたいと考える方もいるかもしれません。
しかし、診察室にある程度の余裕が必要でしょう。
患者が子どもの場合には、付き添いの人が入ることもあります。
車いすで来院する方は、そのまま診察室に入ってもらうことにもなるでしょう。
充分な診察ができるように、診察室の面積にも気を配ることをおすすめします。
処置室
処置室とは、点滴や採血、科目によっては外科手術を実施する場所です。
診察室同様、処置室ももちろん重要な空間であり、どれだけの面積を割くのかはしっかりと考える必要があるでしょう。
ただし、診察室は診療科目によってベッドの設置数が異なるため、求められる面積が異なる場所です。
たとえば内科であれば、ベッドの台数は2~3台程度でしょう。
また、以下のような処置が多い診療科目では、より広めの空間とすることが望ましいといえます。
処置質を広くとるべきケース
- ・点滴を実施することが多い
- ・複数の医療機器を用意している
点滴の実施には時間がかかるため、患者を安静にさせてあげるスペースが必要です。
寝たままでの点滴が辛い患者のためにリクライニングチェアを設置する場合には、より処置室を広くとる必要があるでしょう。
診療科目で異なる必要なスペース
以下のような場所は、診療科目によって必要か否かが変化します。
診療科目で必要か否かが変わる場所
- ・レントゲン室
- ・カウンセリングルーム
- ・手術室
- ・検査室
- ・リハビリ室
上記は一例であり、科目だけでなく経営方針においてはデイケアもできるスペースが求められるでしょう。
そのため、土地を探す際にはご自身の医院の科目や方針などをある程度明確にしてから探すことをおすすめします。
専科ごとの広さの目安
ここでは、専科ごとに確保したい医院広さの目安を整理します。
専科別の医院面積目安
専科 | 面積目安 |
内科 | 30~50坪 |
小児科 | 30~45坪 |
耳鼻咽喉科 | 25~45坪 |
眼科 | 30~60坪 |
整形外科 | 50~70坪 |
心療内科 | 20~35坪 |
皮膚科 | 15~40坪 |
消化器内科 | 40~60坪 |
循環器内科 | 30~40坪 |
脳神経外科 | 50~70坪 |
婦人科 | 40~60坪 |
泌尿器科 | 40~50坪 |
上記はあくまでも目安であり、実際にはより広い面積が必要になることもあります。
またその逆に、より少ない面積でも開業し、上手に運営する医師も多くいます。
また、同じ面積でも入り口や各部屋のレイアウトによって利便性は変わるでしょう。
土地の形状も考慮しながら、最適な物件を探していただけたら幸いです。
病院と診療所の違い
詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
医院開業に必要な広さを理解しておきましょう
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、医院開業に求められる土地の広さについてご理解いただけたと思います。
医院には通常の業態以上に余裕のある面積が求められることを念頭に置き、物件探しをしていきましょう。
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