医院開業のために必要な資金調達
2020.5.14
医院開業に必要な資金~土地・建物編
新しく医院開業するには、土地と建物を用意しなければなりません。
土地・建物の必要面積は診療科目によって異なるため、新しく立ち上げる医院の専門分野に合わせて予算を立てることが大切です。
ここでは、主要な診療科目ごとに、土地・建物にかかる費用の目安をまとめました。
診療科目 |
必要面積の目安 |
土地建物の費用目安 |
内科 |
35~50坪 |
3,000万円~ |
小児科 |
30~40坪 |
2,500万円~ |
整形外科 |
55~70坪 |
4,000万円~ |
耳鼻科 |
30~40坪 |
2,500万円~ |
皮膚科 |
30~40坪 |
2,500万円~ |
眼科 |
30~40坪 |
2,500万円~ |
小児科や耳鼻科、皮膚科、眼科などは、設備の関係上、他の医院よりも比較的コンパクトな土地・建物で開業することが可能です。
ただ、診療の範囲によっては、より大きな土地・建物が必要になる場合もあります。
たとえば内科の場合、内視鏡ありの場合は設備導入により、50坪ほどの敷地面積が必要になります。
また、耳鼻科は花粉症の時期になると混雑しやすいため、完全予約制を導入しないのであれば40坪程度の面積を確保するのが理想とされています。
このように、同じ診療科目でも条件によって土地・建物の面積が異なるため、資金計画を立てる時はどんな診療を、どこまで行うのか明確にしておくことが大切です。
医院開業に必要な資金~医療機器編~
医院開業において、最も多額の資金を必要とするのが医療機器です。
当然ですが、高性能かつ多数の医療機器を導入するほど費用が高くなり、より多くの開業資金が必要となります。
以下に、診療科目ごとに医療機器にかかる費用の目安をまとめました。
診療科目 |
主な医療機器 |
費用の目安 |
内科 |
電子カルテ、レセコン、超音波診断装置、心電計、X線撮影装置、内視鏡など |
2,000~3,000万円 |
小児科 |
電子カルテ、レセコン、超音波診断装置、X線撮影装置、自動現像機、心電計など |
1,000~1,500万円 |
整形外科 |
電子カルテ、レセコン、超音波検査装置、X線撮影装置、骨密度測定装置、低周波治療器、牽引器など |
2,000~2,500万円 |
耳鼻科 |
電子カルテ、レセコン、耳鼻科診療ユニット、ネブライザ、聴力検査室、専用内視鏡など |
2,000~2,500万円 |
皮膚科 |
電子カルテ、レセコン、顕微鏡、無影灯など |
500万円~ |
眼科 |
電子カルテ、レセコン、スリットランプ、オートレフケラトメータ、自動視野計など |
2,000万円~4,000万円 |
低コストな皮膚科や小児科でも、医療機器の導入には500万円~1,000万円以上の資金が必要です。
なお皮膚科でレーザー治療を取り入れる場合、さらに多額の医療機器費がかかります。
内科や整形外科、耳鼻科、眼科などに関しては、土地・建物よりも多額の資金を用意しなければならないケースも多いので要注意です。
医院開業に必要な資金~運転資金編~
医院の運転資金は、通常、診療報酬によってまかなわれます。
ただ、窓口収入以外の診療報酬は診療月の2ヶ月後に支払われるため、それまでの運転資金は初期投資費用とは別に用意しておく必要があるのです。
ここでいう運転資金とは、土地・建物のローン返済や、医師・看護師・事務員にかかる人件費、光熱費、消耗品費などを指します。
これらは土地・建物の取得費や医療機器の導入費に比べれば少額ですが、競合が激しい地域の場合、開業当初からの黒字計上が難しいことを考えると、ある程度まとまった運転資金が必要です。
開業から1年で経営を軌道に乗せることを目標に、できれば半年~1年分程度の運転資金を準備しておくのが理想です。
広告宣伝費・医師会入会金なども忘れずに!
医院開業に最低限必要な項目と、その費用の目安をご紹介してきましたが、他にもいくつか必要経費があります。
たとえば周辺に医院開業を知らせるチラシやリーフレット、ホームページの立ち上げといった広告宣伝費は、患者獲得に欠かせない要素のひとつです。
特に競合の激しい地域では、広告・宣伝に力を入れないと経営が奮わず、廃業に追い込まれてしまう可能性があります。広告宣伝費はサービス内容によって差がありますが、200~300万円程度かかると見込んでおいた方がよいでしょう。
また医師会に入会する場合は、100~300万円程度の入会金が必要になります。
このように、直接診療には関わりのない項目にも多額の費用がかかりますので、医院開業の際は潤沢な資金を調達する手立てを確保することが大切です。
医院開業時はあらゆるケースを想定し、余裕を持った資金調達を!
医院開業には、土地・建物の取得費のほか、医療機器の導入費や運転資金など、さまざまな費用がかかります。
必要な費用は診療科目や医院の規模によって異なりますが、開業してからすぐに黒字経営になるとも限りませんので、あらゆるケースを想定し、十分な資金調達を行っておきましょう。
資金調達に関して不安や悩みのある方は、医院開業を支援する専門サービスの利用をおすすめします。