診療報酬改定で変わるかかりつけ医の重要性と求められる5つの機能

2022.2.1

近年、厚生労働省または日本医師会などで「かかりつけ医を持ちましょう」と情報発信している影響で、一般にも「かかりつけ医」の必要性が高まっています。

実際に、すでにかかりつけ医を決めている方も多くいらっしゃるでしょう。

 

なぜ、かかりつけ医を持つことが重要だといわれるようになってきたのでしょうか。

本記事では、かかりつけ医が重要になっている理由や診療報酬の改定など、今後開業医として「地域のかかりつけ医」を目指しているドクターの方にも役立つよう詳しく解説していきます。

かかりつけ医とは

そもそもかかりつけ医の定義とはどんなものなのでしょうか。

かかりつけ医には、具体的に求められている5つの機能があります。

 

  1. なんでも相談できる
  2. 身近で頼りになる
  3. 最新の医療情報を熟知している
  4. 必要に応じて専門医や専門医療機関を紹介してくれる
  5. 地域医療や保健・福祉を担う総合的な能力を有している

 

つまり、患者さんはちょっとした体調の変化にも気づいてもらえ、病気の早期発見・早期治療をしてくれるかかりつけ医を求めています。

また、必要に応じて大きな病院を紹介してくれる橋渡し的な存在として期待もしているでしょう。

今後かかりつけ医が重要になってくる理由

年々、かかりつけ医のニーズは高まってきています。

 

かかりつけ医は、病気の治療だけでなく、予防や早期発見などの健康管理、そしてむかえうる超高齢化社会における地域包括ケアシステムの中心的存在を担う役割が求められています。

 

そのため、日本医師会ではかかりつけ医の普及を推進し、「かかりつけ医機能」の充実を図っているのです。

かかりつけ医機能とは以下のことを指します。

 

  • かかりつけ医は、日常の診療で、患者さんの生活背景を把握・適切な診療及び保健指導を行い、必要に応じて地域の医師や他の医療機関と連携し解決に導く。
  • かかりつけ医は、自身の診療時間外でも患者さんにとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師や他の医療機関と情報共有し、休日や夜間でも対応できる体制を構築する。
  • かかりつけ医は、日常の診療の以外にも、地域の皆様との信頼関係を築くため、健康相談や健康診断、または社会的活動や行政活動にも積極的に参加し、関係者との連携を図る。在宅医療の推進。
  • 患者さんやその家族に対して、医療に関するわかりやすい情報の提供を行う。

 

参照:日本医師会ホームページ

 

また、診療報酬の点数は医療行為ごとに厚生労働大臣が細かく決められ、医療の進歩や経済状況を踏まえて、2年に一度の診療報酬改定が行われます。

 

2020年に行われた診療報酬改定で、新設された診療情報提供料Ⅲとして「かかりつけ医機能を有する医療機関等と他の保険医療機関が連携し、質の高い診療が効率的に行われることを評価する」とされています。

 

かかりつけ医機能を有する医療機関とは、下記のいずれかの届け出を行っている医療機関と定められているものです。

 

  • 地域包括診療加算
  • 地域包括診療料
  • 小児かかりつけ診療料
  • 在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所のみ)
  • 施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所のみ)

 

つまり届け出を行い、「かかりつけ医機能を有する医療機関」と定められれば、初診時における診療機能を評価する観点からさまざまな加算が可能になったのです。

2020年度の改定による、機能強化加算とは

機能強化加算とは、「かかりつけ医機能」の普及を目的に、「かかりつけ医機能を有する医療機関」の初診料に加算(80点)できるものです。

また、「かかりつけ医機能を有する医療機関」である証明をクリニックの見やすい場所に掲示する、もしくは患者さんが文書として持ち帰れるようにしておかなければなりません。

診療報酬改定が行われる背景

診療報酬改定が行われる背景には、高齢人口の増加に伴う医療費の増加があげられます。

そのため、医療の効率化を図り、クリニックなど小規模な病院と大学病院など大きな病院の役割の区分も推進されてきました。

 

2020年度の改定で、紹介状がなく大病院を受診するには定額負担5,000円以上とする対象病院の枠が、「400床以上」から「200床以上」に拡大したのも、病院とクリニックの機能の分化を進める目的です。

 

また、団塊の世代が75歳の後期高齢者になる2025年に向けた、介護と医療の連携による在宅医療の充実も必要不可欠となってきています。

在宅医療の充実化を図るために、ゆくゆくは在宅医療の中心的な役割として、かかりつけ医は位置付けられているのです。

 

診療報酬の改定する背景には、加算ができる「かかりつけ医機能を有する医療機関」を増やし、かかりつけ医を普及させる狙いもあります。

「地域のかかりつけ医」になるための心得

地域のかかりつけ医を目指すために気をつける点はあるのでしょうか。

患者さんに求められるかかりつけ医とは、下記のように身近で頼れる存在であることが重要です。

 

  • 些細な体調変化でも安心して相談できる
  • どうすればいいのか適切な判断をしてもらえる
  • 家族の健康についても相談しやすい

 

かかりつけ医は、自己の診療時間外にも患者さんにとって最善の医療が継続されるよう対応することが求められます。

日々の診察で患者さんとしっかりとした信頼関係を構築するだけではなく、ときには地域の医療機関や福祉施設とも連携を高めておくことも必要です。

 

地域の医師や医療機関等と必要な情報を共有し、協力して休日や夜間にも対応できる体制を構築することが重要になります。

地域のかかりつけ医になるために必要なこと

いかがでしたでしょうか。

今、かかりつけ医は患者さんが選ぶ時代です。

 

頼られる存在の地域のかかりつけ医になるには、日頃から患者さんとの信頼関係を築いていくのも重要です。

患者さんの気持ちに寄り添ったコミュニケーション能力や人間力もかかりつけ医には求められてくるでしょう。

 

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