クリニックの労働管理の重要性とよくある労務トラブルの対策法
2022.4.1
医院開業を検討されている方に向けて、クリニックにおける労働管理の重要性とよくある労務トラブルへの対策法について解説します。
クリニックでは交代制が採用されることもあり、労働管理が難しくなりがちです。
しかし難しいからとそのままにしておけば、労務トラブルへと発展して訴訟問題が起こることも考えられるでしょう。
クリニックを開院するには、労働管理の重要性とトラブルへの対策法を知っておくことが欠かせません。
そこで今回の記事では、クリニックでの労働管理の重要性とよくある労務トラブル、トラブルの防止法について解説していきます。
医院を開業した後もトラブルなく、スムーズに経営を進めていきたい方にとって役立つ記事となっていますのでぜひ参考にしてください。
労務管理とは
クリニックにおける労務管理とは、人材を効率的に活用するための取り組みのことを指します。
スタッフの働きを改善し、モチベーションを高めるためには労務管理が重要です。
クリニックの成長にはスタッフの働きが欠かせません。
しかしスタッフの労働時間管理が十分になされていなかったり、クリニックへの帰属意識が低ければスタッフの働きも悪くなります。
労務管理はスタッフがモチベーションを高め、持つ能力を十分に発揮してもらうために必要不可欠なことです。
クリニックにおける労務管理の重要性
それではクリニックにおいてなぜ労働管理が重要とされるのか、理由について詳しく見ていきましょう。
重要性1:雇用に関するトラブル回避
労務管理はスタッフからあがる雇用に関するトラブルを回避するために役立ちます。
管理が行き届いていないと残業代や解雇に関して、トラブルが発生しやすくなるためです。
たとえば労働時間管理が徹底されておらず、残業代が未払いになっていると残業代請求を経て、労働審判、労働訴訟に発展する危険性が高まります。
また恣意的にスタッフを解雇した場合、慰謝料請求訴訟に発展することも考えられます。
クリニックにおける労働管理は、スタッフからの雇用に関するトラブルを回避することにつながるのです。
重要性2:ハラスメント問題の回避
雇用だけでなく、ハラスメントに関する問題を回避するためにも労働管理は重要です。
ハラスメント問題は従業員教育が徹底されていないことで起こり得ます。
そのため従業員教育を徹底する、従業員からの訴えに対して医院が適切に対応をするなどの管理が求められます。
労務管理を行うことは、ハラスメント問題を回避して、従業員の退職や訴訟を防ぐためにも重要です。
重要性3:スタッフのモチベーション低下の回避
クリニックでの労働管理は、スタッフのモチベーション低下を回避するためにも欠かせません。
スタッフに対して適切な評価・対応をすることはモチベーションの向上につながります。
たとえば人事評価の結果に対して不満を感じたスタッフから、説明を求められたとしましょう。
その際にもし根拠が確かで論理的な説明ができなければ、スタッフの仕事に対するモチベーションを維持するのは難しいものです。
業務の品質・量ともに下がれば、クリニックの経営に支障が生じる可能性も十分に考えられます。
スタッフのモチベーションを維持することも、労働管理における重要性です。
労務トラブルで特によく起こること
クリニックで労働管理ができていない場合に、よく起こる労務トラブルは次のとおりです。
トラブル1:給与に関する問題
まずは給与に関する労務トラブルです。
給与は労働において最も重要なポイントとなります。
働きに対して見合った給与が得られていない、退職金が少ない、残業代が支払われていないなどのトラブルが起こり得るでしょう。
トラブル2:労働時間の問題
次によく起こるのは、労働時間に関する問題です。
特にクリニックでは交代制を採用している場合が多く、労働管理が難しくなる傾向にあります。
労働時間・拘束時間・休憩時間を適切に管理されていなければ、法定労働時間遵守にて問題が起こる可能性が考えられます。
残業時間の問題も含まれるでしょう。
労働時間の問題は、給与に関する問題と並んでよく起こるトラブルです。
トラブル3:労働災害問題
最後に労働災害問題もクリニックによく起こるトラブルのひとつです。
医療の現場は労働災害が起こりやすくなります。
たとえばスタッフの負傷や感染にはじまり、精神疾患への罹患も考えられるでしょう。
労働基準監督署による調査が入れば、スタッフの労働災害は病院側の対応が不適切だったと判断される可能性もあります。
クリニックでは適切な労働管理を行い、スタッフの労働災害が起こらないよう適切な管理が必要です。
労務トラブルを防止する対策
それでは労務トラブルを防止するためにはどのように対策をするべきなのでしょうか。
対策法1:労働管理書類・就業規則の作成と締結
クリニックで労働管理をする際には、まず労働管理書類を締結し、就業規則を作成することで労務トラブルを防止できます。
就業規則や雇用契約書、身元保証書、秘密保持の誓約書などを締結することにより、労務トラブルを防げる可能性が高まるためです。
就業に関する取り決めを書類として示しておき、書類の内容に従って業務を行います。
有給休暇の管理や退職金に関する事項も記載しておけば、トラブルは未然に防げるはずです。
対策法2:労働時間に対する適切な管理
労働時間を適切に管理することも労務トラブル防止に欠かせません。
労働基準法に従って、労働時間の定義を明確にしておきましょう。
法律では1日8時間、週に40時間が労働時間となり、規定の時間以上となれば時間外労働として別途の給与支給が必要です。
しかしクリニックでは1日8時間以上の労働が止む終えないことも少なくありません。
使用者が労働時間に対する知識を持ち、始業時間と就業時間を明確にすることが大切です。
また労働時間を有効に活用するために、労働基準法の規定以上の勤務をしたスタッフには、調整のため次に労働時間を軽減するなどの配慮も必要となります。
労働時間に対する適切な管理を行うことは、労務トラブル防止に大きく役立ちます。
対策法3:解雇の正当理由を把握する
解雇に対する労務トラブルには、使用者が解雇の正当理由を把握しておく必要があります。
解雇の正当理由に値しないのにスタッフを解雇すれば、訴訟問題に発展しかねないためです。
正当理由はさまざまですが、一般的にはミスの多いスタッフでは業務効率が著しく不良なこと、向上が見込めないこと、就業に適さないと判断されることなどがあります。
また無断欠勤が2週間以上続き、出勤の要望に応じないスタッフがいる場合には、解雇予告除外認定基準によって解雇が認められるかもしれません。
解雇をするには正当理由が必要です。
解雇をする場合は、使用者がクリニックスタッフの労働管理を適切に行い、正当理由を説明できるようにしておくことが重要です。
クリニック経営では労働管理が重要
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、クリニックでの労働管理の重要性と起こり得る労務トラブルがご理解いただけたと思います。
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