医療モール(クリニックモール・メディカルモール)で開業する3つのメリット
2022.2.1
開業をお考えの医師の中には、さまざまな診療科が1つの場所で集客する形の「医療モール」をお考えの方もいるのではないでしょうか。
医療モールは、患者さんにとって利便性が高く集患も見込まれる医師にとって魅力的な医療施設です。
この記事では、医療モールが増加している理由や背景をもとに、医療モールで診療所(クリニック・医院)の開業をお考えの医師の方に向けて医療モールで開業するメリットとデメリット、どのようなタイプがよいかなどをご紹介していきます。
医療モール(クリニックモール・メディカルモール)とは
医療モールとは、クリニックモールやメディカルモールとも呼ばれ、内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、整形外科、心療内科、婦人科、脳神経外科など診療科の異なる診療所や調剤薬局が1つの建物内もしくは同じ場所に集合している医療施設を言います。
医療モールはタイプ別に以下の6つに分類されます。
医療モールの分類
- 医療ビレッジ
- 医療モール
- 医療ビル
- レジデンス併設型
- オフィス併設型
- 医療ドミナント
詳しく説明していきましょう。
医療ビレッジ
同じ敷地内に、戸建てタイプの診療所と調剤薬局が集合しているタイプの「医療ビレッジ」。
建物の設計や内装の自由度が高く、新しく開業する医師のコンセプトやイメージに合った施設の建築が可能です。
比較的大きな道路沿いや土地にゆとりのある場所にあり、広い共有の駐車場を保有しているケースも多く見られます。
医療モール
駅ビル内や郊外にあるショッピングモールなど商業施設の一角に診療所を併設するスタイルが「医療モール」です。
買い物に来た方に無意識に認知されやすい特徴があります。
買い物のついでに気軽に通院できるので患者さんにとっての利便性が高い医療形態と言えます。
医療ビル
1つのビル内に複数の診療所と調剤薬局で構成されているのが「医療ビル」です。
医療ビルは、設計段階から医療機関が入る前提で建物が作られているので、医師や患者さんにとって使いやすい設計となっています。
車椅子でも入れる余裕のあるエレベーターや手すりがついたトイレ、段差の少ないバリアフリー設計など、病院施設にはなくてはならないきめ細やかな設備も整えられています。
レジデンス併設型
マンションの低層部に複数の診療所が併設するタイプの「レジデンス併設型」。
マンションの中にある医療モールとなりますので、マンション内の住人にとって「かかりつけ医」として定期的に利用されやすい形態です。
マンションの住民以外にも利用してもらえるように道路際の目立つ場所に看板を出す、近隣にチラシを配るなどの広告活動も重要となってきます。
オフィス併設型
「オフィス併設型」は、複数のオフィスが入居しているビルの中にあるタイプの医療モールです。
同じビルの中で働くビジネスマンにとって、ビル内に診療所があるのは大きな利点になるでしょう。
ちょっとした仕事の合間に気軽に通えるので、定期的に通院が必要な慢性的な疾患をお持ちの患者さんを対象にした診療所としても需要があります。
また、駅チカなど人通りが多い立地ならビル外からの集患も期待できます。
医療ドミナント
「医療ドミナント」とは、開業している診療所の敷地に隣接した土地に、異なる診療科が新たに開業し、実質的に数件の医療関係施設が集まる地帯を「医療ドミナント」と呼んでいます。
診療所同士が連携を取りやすく、複数の医院をハシゴする必要のある患者さんにとっても、利便性の高いタイプと言えます。
医療モール(クリニックモール・メディカルモール)が増加している背景
医療モールが増加している背景には主に3つの要因があります。
1つずつ解説していきます。
社会からの視点
日本は高齢化によって医療費はますます増加の一途を辿り、平成27年度には国の歳出の41%をも占めていました。
そのため、行政はとくに高齢者に対しての不必要な入院を減らす目的で、病床の数の減らす政策を打ち出しました。
病院は、重篤および重症者の治療に対し高度な医療技術を提供し、診療所は、地域の「かかりつけ医」として第一診療に携わる、とそれぞれの役割を分担させたのです。
一方で、病床の数も削減する方針を取るようになったので、病院の数も2018年時点では8,378施設となり、10年前に比べて435施設減少しています。
病院の数が減少している反面、医師の人数は増加しているため、勤務医の就職先が不足する事態に発展しようとしています。
そのため、勤務医ではなく自分で開業する医師が増え開業医が増加し、地域によっては競争が激しくなっているのです。
そして、診療所は地域医療の充実が不可欠となり、診療所の業務だけではなく、在宅医療やリハビリテーション、介護施設との連携も必要となるなど包括的な医療活動が求められています。
その点、医療モールなら複数の診療科と専門性の高い医師が集合した医療施設タイプなので、モール内で連携を高め、地域医療の活性化を実現できるので、地域住民の注目も高まっています。
医師からの視点
一方、医師から視た医療モールとはどのようなものなのでしょうか。
少子高齢化が進む日本では年々人口が減少し、患者数も減少傾向にあります。
その反面、医師の人数は増加傾向にあり、平成2年に人口10万人当たり医師の数が171.3人であったのに対して、平成26年には244.9人にも及んでいます。
数年後には医師が過剰になるとも言われ、今後は「開業すれば必ず集患できる」というような時代ではないのかもしれません。
開業を成功させるには、きちんとした事業計画を練り、経営の効率化を図る必要があります。
時代に則した「医療モール」という形はこれからの時代の医療の形態と言えるでしょう。
患者さんからの視点
患者さんから視ても、医療モールへの期待感はますます高まっています。
本来なら別々の場所に通わなくてはならない疾患でも、同じ医療モール内で完結できるようになるでしょう。
また、医療モールは診療科の違う診療所同士でも患者さんの医療データを共有し、1枚の診察券で複数の診療科を受診できる連携システムが整っているので、患者さんにとっても大きなメリットとなりうるでしょう。
医療モール(クリニックモール・メディカルモール)が地域に提供する役割
医療モールは、地域の住民への総合的かつ専門性を併せ持った高度な医療を提供する役割があります。
従来なら大学病院や地域の総合病院に通院していた患者さんも、ショッピングモール内や駅ビル内などの利便性の高い場所で、総合病院と同じレベルの治療を受けられるようになります。
また一方で、総合病院にも余裕が生まれ、重篤な患者さんの対応により専念でき、充実した医療体制を構築できるようになるでしょう。
この他にも医療モールは、開業を検討している医師をサポートする役割も担っています。
なぜなら医療モールは建物の建築費用などの初期費用を抑え、トイレや駐車場などの設備も共有の場合が多く、コストの削減が期待できます。
その上、開業前でも看板などで周辺の住民に認知され集患が見込めやすいので、開業後の収入面で不安を持つ医師の独立開業を支援する意味合いも持ち合わせているのです。
医療モール(クリニックモール・メディカルモール)開業のメリット
医療モールでの開業は医師にとって主に3つのメリットが存在します。
医療モールでの3つの開業メリット
- 高い認知度と効率的な集患
- 他の診療所(クリニック)との連携
- 初期費用など資金面での負担の軽減
順番に詳しく見ていきましょう。
高い認知度と効率的な集患
医療モールはショッピングモールや新幹線沿いなどアクセスのよい場所に作られます。
そのため、効率的に多くの患者さんに来院してもらえるでしょう。
他の診療所との連携
治療内容によっては他の診療科での治療が必要になるケースも発生します。
同じモール内の診療所なら、患者さんを紹介したあとも医療データを共有できるので、独立した施設の開業医よりも他の診療科の医師と相互に連携を取りやすい環境にあると言えます。
経営についての相談などを気軽にできるというのもメリットの1つです。
初期費用など資金面での負担の軽減
医療モールでの開業は、他の診療所とトイレや待合室、駐車場などを共有できます。
そのため、独立した医療施設を建設するよりも、初期費用を抑えられ、資金面での負担を軽減できるでしょう。
医療モール(クリニックモール・メディカルモール)開業のデメリット
医療モールでの開業はメリットばかりではありません。
念のためデメリットも確認しておきましょう。
人間関係の煩わしさ
「煩わしい人間関係に巻き込まれたくない。」そう思って開業する医師も多いのではないでしょうか。
医療モールでは、大学病院のように上下関係はないにせよ、治療方針が違ってぶつかることがあったり、相性の合わない医師もいるかもしれません。
いい医療を提供し続けていくためには、医療モール全体でしっかりとした連携を取れる体制が理想ですので、事前に同じモールに入る医師の情報を把握しておくのも重要なポイントです。
施設への不満
独立した施設で1から理想の医療施設を作る場合と違い、医療モールはあらかじめ複数の診療所で構成される前提に設計しているので、実際に使っていくうちに不満が出てくる場合もあるかもしれません。
そのため、入居前なら医療モールを企画している会社や担当する建築会社などと密に連絡を取り、希望をきちんと伝えるなど入念に打ち合わせをしておきましょう。
医療モール(クリニックモール・メディカルモール)なら効率的な収益化が実現
医療モールの開業についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
医療モールは地域医療に貢献できる今後ますます注目される医療施設の形態です。
開業を検討している医師にとっては、初期費用の軽減やランニングコストの削減、効率的な集患での収益化が見込まれるので、医療モールでの開業は大きなメリットにつながるのではないでしょうか。
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