一人一人を大切にした診療で かかりつけ医として患者さんに寄り添う

2022.9.30

大阪府北部に位置する高槻市の市内南部。多くの店舗が立ち並ぶ道路沿いに、さいとう内科クリニックがある。

2014年の開業から8年、院長の齊藤純先生は、「一人一人とじっくり向き合うかかりつけ医を目指してきた」と語る。

その言葉通り、クリニックは齊藤先生に信頼を寄せる多くの患者さんで日々あふれている。

今回は、齊藤先生に開業を目指したきっかけやクリニックの現状、今後の展望についてお話を伺った。

患者さん一人一人と向き合う医療を目指し開業を決意

──先生はどのようなきっかけで、医師を目指されたのでしょうか?

齊藤先生: きっかけは、家族が病気になって医療機関にかかるようになったことですね。

患者の家族として医師と接する中で、「人を助ける」という医師の仕事の素晴らしさに気付き、医師を目指すようになりました。

 

──最初は勤務医として幾つかの病院に勤務されていたそうですね。開業を考えられたきっかけを教えていただけますでしょうか?

齊藤先生: 医師になってからは、泌尿器科の専門医として前立腺肥大症や、がん、腎不全などの専門的な治療を行ってきました。

勤めていた地域の拠点となるような大きな病院では、手術は外科、術後の管理は別の診療科というように担当が細分化されていました。

急性期の病院は患者さんの入れ替わりが早く、勤務医は転勤もあります。

勤務医としての仕事にやりがいを感じる一方、一人の患者さんとじっくりと向き合うことができないというジレンマもありました。

また、腎臓移植の治療をしていると、必然的に全身管理のため内科的な治療に関する知識も必要となってきます。

それらを勉強している中で、患者さんの全身を総合的に診るという診療スタイルを目指すために開業を考えました。

地元のかかりつけ医として、患者さん一人一人とじっくり向き合い、長くお付き合いをしたいと思ったのです。

 

──開業する場所として、なぜ高槻(西冠)を選ばれたのでしょうか?

齊藤先生: 当初から地域に密着したかかりつけ医を目指していたので、駅前でクリニックを開業する必要はないと考えました。

アクセスの良い駅前に開業し、遠くからの患者さんにも通ってもらうというよりは、その地域に住んでいる地元の人を中心に診察していきたいなと。

 

──クリニックづくりで、特にこだわられたところはありますか?

齊藤先生: 高齢の方や身体の不自由な方が受診されることも多いため、クリニックの入り口やトイレなどをバリアフリーにしました。

また、救急車での搬送にも対応できるよう、廊下やドアもストレッチャーが通れるような設計にしています

駐車場もすぐ横に備えていますので、患者さんにとっても利便性の高い作りになっていると思っています。

ミニマムな形で開業し患者さんの声を聞きながら診療体制を拡充

──開業して8年余り、現在のクリニックは思い描いていたような形になっていますか?

齊藤先生: 開業した当初は、検査機器や診療体制は基本的なところを押さえたミニマムな形でスタートしました。

診療においては、なるべく患者さんの話にしっかり耳を傾け、コミュニケーションを取るよう心がけています。

患者さんの中には、「〇〇の予防接種をしてほしい」「▲▲の検査はできないだろうか」といった声を寄せてくださる方もいらっしゃいます。

患者さんが抱えるさまざまなニーズをくみ取りながら、少しずつ診療体制を拡充させてきたという感じです。

腎臓・泌尿器科疾患については、ある程度専門的な診断・治療も可能です。それ以外の内科領域についても幅広く診ています。

また、高度な治療が必要な場合は、地域の病院とも連携を取っています。

健康診断や予防接種なども行っており、普段から気軽にいろいろなことを相談できるクリニックとして、地元の方に認知されてきたのかなと思います。

 

──受診される患者さんはどのような方が多いですか?

齊藤先生: 一番多いのは、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を抱える患者さんですね。

慢性疾患の方はご高齢の方が多く、長期的な管理と通院が必要になるため、通院しやすい地元のクリニックを選ばれる方が多いです。

また、腎臓・泌尿器科疾患に関しては、専門のクリニックが少ないこともあり、茨木市や枚方市など比較的遠方から来られる患者さんもいらっしゃいます。

患者さんの年齢は、お子さんからご高齢の方まで幅広いですね。おじいちゃんが当クリニックを気に入られ、そのお孫さんが診察に来られた、ということもありました。

ご家族皆でかかりつけとして頼りにしてもらえることは大変嬉しく、勤務医では経験できないやりがいを感じています。

 

──クリニックのスタッフについてはいかがでしょうか?

齊藤先生: 現在は、受付5名、看護師6名のスタッフでシフトを組んでいます。

スタッフの皆は私の診療方針をしっかり理解してサポートしてくれているので、信頼して仕事を任せています。

また、スタッフが働きやすいように、なるべく普段からコミュニケーションを取り、スタッフの声にも耳を傾けるよう心がけています。

患者さんの増加に対応するため、別の医師に応援に来てもらおうかと考えたこともありました。

ただ、患者さん一人一人を大切にしたいという自分のスタンスを守っていくためにも、今は体制を変えずにやっていこうと思っています。

今後はICTを活用して診療の質と患者さんの利便性向上を

──診療を続けてこられた中で、見えてきた課題はありましたか?

齊藤先生: おかげさまで順調に患者さんは増えてきましたが、患者さんが増加すると待ち時間が増えるという問題が発生します。

その中で、一人一人の診療時間をどうやって確保していくかということを考えなくてはなりません。

当クリニックではインターネットでの受付もしていますが、高齢の方は利用が難しいという問題もあります。

診察の質を落とさず、患者さんの待ち時間を減らすためには、受付や診察の効率化など、時間の使い方を工夫する必要があると感じました。

 

──具体的には、どのような工夫をされたのでしょうか?

齊藤先生: 診察の効率化を進める一つの手段として、オンライン診療を積極的に取り入れるようにしました。

ただし、高齢の方などオンライン診療が難しい方がいるのも事実で、そういった方との不公平感をなくすことも考えなくてはなりません。

そのため、当院では直接来院する患者さんと同じように、オンライン診療の患者さんにも順番を取ってもらうようにしています。

オンライン診療の患者さんも自宅で順番待ちをして、時間が来たら診療するという形です。

新型コロナの患者さんは、直接来院されると感染予防の観点から診察に時間や手間がかかってしまいます。

オンライン診療を活用することで、他の患者さんへの感染リスクを減らしつつ、効率的に診察ができるようになりました。

 

──今後について、充実させていきたい、取り入れていきたいと考えられていることはありますか?

齊藤先生: 当初はオンライン診療に対してネガティブな声もありましたが、新型コロナの拡大で利用される方も増えました。

当クリニックでも、引き続きオンライン診療を活用して患者さんの利便性を高め、診察の効率化を進めていければと思っています。

また、最近は医療分野へのICTの活用がどんどん進んでいます。禁煙治療や、高血圧の治療では、新しい治療法としてアプリを使った治療が保険で承認されました。

当クリニックでは、アプリを利用した新しい治療も積極的に取り入れていきたいと考えています。

アプリを使った治療は、普段の生活における患者さんのデータを、診断・治療に活かせるというメリットがあります。

それにオンライン診療を組み合わせれば、診療の質をさらに向上させていくことも可能になるでしょう。

パソコンやスマートフォンなどに慣れている若い患者さんは、オンライン診療に対するニーズが高いと感じています。

実際、仕事の合間に会社から病院にアクセスして診察を受けてお薬をもらうという風に、上手にオンライン診療を利用されている方も多いです。

一方で、対面でしっかり話を聞いてもらいたい、直に聴診器を当ててもらいたいという患者さんもいらっしゃいますよね。

それぞれの患者さんのニーズに上手く対応して、患者さんの満足度を高めていくのが、これからの診療の理想形かなと思っています。

 

さいとう内科クリニック

URL:https://saito-naikacl.com/

診療科目:内科・アレルギー科・泌尿器科・在宅医療

電話番号:072-676-7666